フォントの拡張子と歴史
フォントは長い歴史を持つものが多く存在し、特に写植印刷時代に作成されたBodoniように100年以上の歴史をもつフォントも存在する。近代になると、DTPソフトや活版印刷の普及により、フォントはパソコン上でも活用されるようになる。現在、コンピュータの世界で使用されているフォントのファイル形式は、もともと活版印刷での使用用途のために規格化が始まった。データとしてのフォントをデジタルフォント、写植印刷時代のフォントをアナログフォントと呼ぶ。
初期のコンピュータにおけるデジタルフォントは、CUIに文字列を表示させるための単純なものであった。解像度の低いCUIでの可読性が重視され等幅フォントのMonospaced Fontが使用されていた。 GUIの発明以降、オーサリングソフトソフトを用いたDTPの発展により、Bitmap Fontという単純なデータ構造しか持てなかったデジタルフォントはより多くの情報を保持できるScalable Fontへと発展した。デジタルフォントの標準規格化のために有名ソフトウェア会社の間で、どの会社の規格が標準規格となるかを巡り覇権争いを繰り 広げた。OSの開発元であるMicrosoft、Apple、オーサリングソフトの開発大手Adobeなどが次世代形式の開発を行った。 その結果、フォントデータは複数のファイル形式が乱立する状態となったが、現在はMicrosoft、Adobe、Appleが共同開発したOpenType形式に統一された。しかしながら現在でも過去の覇権争いの名残からOSで使用されるフォーマットには.otf, .ttfの2つの拡張子が存在している。
WEBの黎明期には、デジタルフォントはWEBサイトのデザイン上での活用も期待されるようになる。そのためにはサイトを閲覧するクライアントOSに書体が存在する必要があるが、家庭用PCの場合には標準搭載されているフォントが少なく、各端末のOSによって搭載されているフォントは異なるため、使用できるフォントの選択肢は限られていた。指定されたフォントが各端末にない場合、Font Fallbacksへと代用されてしまいデザイン上で意図した見た目と異なるという課題があった。 この課題解決のため、CSS3により策定された技術がWeb Fontである。フォントファイルをサーバーからダウンロードしブラウザー上のみで処理させる事で、あらゆる端末で多様な書体を表示させることが可能になった。
しかし、データサイズが大きいフォントデータは低速なインターネット回線では配信に時間がかかり、WEB Fontを使用したサイトは表示に時間がかかるという問題が発生した。この問題は、FOIT (Flash of Invisible Text)とFOUT (Flash of Unstyled Text)という2つの現象が特に指摘されている。 フォントデータのダウンロードを高速にさせるめに、OpenType形式を圧縮させたファイル形式であるWOFF(Web Open Font Format)が開発され、さらにその後、WOFFの次世代形式であるWOFF2(拡張子は.woff2)も開発された。WOFF2はWOFF1と比較して12%圧縮率が高く、2022年現在では多くのブラウザーで対応してきている。 データの圧縮以外にもフォントデータの読み込み速度の問題に解決策が講じられている。現在の所、FOUT問題はあるが、HTMLの読み込みを阻害せず、テキストの表示にも影響が出ないような遅延読み込みの方法で実装されるパターンが多い。反対にFOITは完全なアンチパターンとして非推奨とされている。完全な解決策がないため、この問題はには新しい技術の登場によって将来の解決が期待されている。
以上が現在までのデジタルフォントの歴史的な変遷である。 このような歴史的な背景を持つ書体を、WEB開発で用いる際には以下を注意したい。
- 他のWEB技術のように「WEBのために開発されたツール」ではなく、もともとDTPのために発展した。
- 多くの場合、端末により表示が異なると意識する必要がある。
- フォントデータは複数のフォーマットを持ち、それぞれのフォーマットでブラウザの対応状況が異なる。
- Web Fontを使用する場合には、読み込みには時間がかかるので対策が必要である。